借地付き建物を相続した方の中には、借地を手放したいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
すでに自分が生活している拠点他にあったり、その建物を利用する予定がなかったりして。
しかし、借地権はとても売りにくい不動産と言われています。借地付き建物は価値が低く、制約も多いため、買い手がなかなか見つかりにくいからです。
そのような時には地主さんと連携して、底地と借地権の「同時売却」を行なうのがおすすめです。
借地権と底地の同時売却とは

借地付き建物とは、地主さんに土地一部を借りその上に建築した建物のことを指します。
すなわち、借地者は地主さんから借地権を得て、家を建てたという状態です。
一方、借地以外の部分は地主さんの土地で底地といいます。
この借地権と底地は所有者が異なりますがこれを同時に売却することで借地でも場合によって価値が何倍にも上がり売ることができるのです。
同時売却のメリット
底地と借地権(建物)を同時に売ることのメリットは、一般的な不動産のように、所有権のある不動産として売却できるところです。底地だけ、借地権だけなど、単体で売ると価値が下がってしまいますが、同時売却を行なうことで価値を高めることができ、高値で売れるのです。
また、借地人にとっては、借地権を売る際に地主に支払う承諾料などがいらないので、得られる利益が大きくなりやすいという特徴もあります。
ただ、地主が個人であった場合は、同時売却時にトラブルに見舞われることもしばしば。売却価格と利益の折半で双方の合意が得られないというケースも珍しくありません。
一方、底地が国の所有であれば、トラブルにも見舞われにくいため、比較的スムーズに同時売却が進められるでしょう。ただし、手続きが複雑になっており、きちんと売却するには3ヶ月ほど、時間・手間がかかります。
<参考>
国が底地を所有している場合借地権でも売却可能です。国が底地を所有している場合のメリットデメリットまた、同時売却のメリットなどを簡潔に紹介しています。
借地が誰の者であっても、地主の許諾がなければ借地権を手放すことはできません。不動産会社に相談して、地主との交渉を進めることが大切です。
いつ同時売却を提案するべき?
しかし、いきなり同時売却をしたいと申し出ても、地主が乗ってくれるとは限りません。困ってしまうでしょうし、唐突な提案に気を悪くしてしまう可能性もあります。そこで、同時売却は、相続が発生し、地主や借地人が変わったときや、借地人が建物を手放す時期など、タイミングを見計らって提案しましょう。
同時売却時は「不可分一体」の契約しよう
同時売却について双方の合意が取れたら、「不可分一体」の契約を結ぶことを忘れずに行ないます。不可分一体の契約とは、売主である地主・借地人が連帯して責任を負うことを定めた契約です。
片方の契約が破棄されても、もう片方の契約は生きている、という中途半端な状況に陥ってしまいます。そうなると、せっかく買い手が見つかっても、買い手は「所有権」を得られる不動産を購入する契約を結んだのに、底地と借地権のどちらかしか得られないという中途半端な状況になってしまいます。
不可分一体の契約をしていれば、片方が契約破棄した場合はもう片方も破棄され、買い手への損害を最低限に抑えることができるでしょう。